「海外こころのヘルプデスク24時」は、海外在住者と渡航前・帰国後の方のこころのケアにとりくむ海外在住者もしくは海外経験者により運営されている、ボランティアの非営利相談機関です。
日本では市や厚生省、行政の相談窓口や、民間でも「いのちの電話」「チャイルドライン」などこころの相談機関は豊富ですが、海外在住者が時差を気にせずにアクセスできる場所は限られます。海外で今つらい思いをしている方に、金銭的負担をかけずに手を伸ばしていただきたいという思いで、代表である心理カウンセラー秋田まきの呼びかけにより2018年に相談活動を開始しました。
「助け合いのグローバル・ネット」をモットーにオンライン相談デスクを設置し、「傾聴」活動を行なっています。その他、海外在住者をエンパワーするためのイベント・講座などさまざまな活動を行なっています。
「海外こころのヘルプデスク24時」は、いかなる宗教団体、宗教活動とも一切関係ありません。
世界各国にボランティア相談員が40名以上在籍する非営利相談機関として、毎月の相談員会議と研修・勉強会を継続的に行っています。また、音声とメールを合わせて毎月約100件のご相談を承る、責任ある相談活動を行なっております。
メキシコ在住。海外生活は25年。3歳から4年間、父の駐在に伴いオランダで幼少期を過ごす。現地の幼稚園を経て日本人学校へ入学したところで帰国。13歳まで日本におり、中学生で再び家族でオランダへ渡航し、中学時代をアムステルダムのインターナショナルスクールで過ごす。
15歳で帰国し、横浜市の私立高校をへて早稲田大学に入学。京都大学の大学院に進み、フランスへ留学したのち教育学で博士号を取得。大学院での勉強と並行して、いじめ問題についての専門相談員(カウンセラー)として活動する。
2007年にメキシコに行ったころから、人生の転機を迎える。大好きだったボディセラピーの仕事を始めて充実した毎日の一方、2013年にこころの危機に陥り、半年間自ら心理カウンセリングを受ける。ここで、インナーチャイルドや、心の底にあった怖れ、悲しみに出会い、それを癒やすプロセスの中で、自分自身の居場所や、人生の指針がはっきりとわかるようになる。
その後、まったく新しい気持ちで心理カウンセリング活動を再開。駐在員の子どもとしてや、留学生として、職業人として、そして配偶者の帯同者として、それぞれの海外経験を積み重ねる中で、いつしか海外在住者のこころの問題に注力するように。2013年から2016年までメキシコシティ日本人学校にスクールカウンセラーとして勤務し、TCK(帰国子女)、ハーフ(ダブル)の子どもたちや、親御さんの心理カウンセリングに携わる。
2016年、心理カウンセラーとして独立。「海外生活・国際恋愛カウンセリング」心理カウンセラーとして、海外全域からの悩み相談を受ける。2018年、「海外こころのヘルプデスク24時」を設立。
教育学博士(京都大学教育学研究科博士課程)。日本心理学会認定心理士。カウンセリング歴20年。
代表挨拶
世界のさまざまな場所で、一人で誰にも悩みを相談できず、孤独を抱える方がいらっしゃいます。
周りに理解してくれる人がいない。あるいは、心を許せる人がいない。
そもそも、日本人がいない。日本語を話すことが全くない、など。
孤立を深め、周りにも気づかれずに、心を壊していかれる方がいらっしゃいます。
今すぐ、日本語で安心して話がしたい。
ただ誰かに、うんうんと話を聞いてほしい。
そういう時が、誰しもあるかと思います。
そこで以前から、無料で24時間、いつでも話しかけることのできる「こころの相談室」があったらいいなと考えていました。
さらに、2017年10月、私はメキシコシティでマグニチュード7.2の地震を経験しました。
しばらくして無料の「震災心の相談ホットライン」を開設したところ、数人の方からご相談が寄せられました。
公式には、この地震での邦人被害はない、ということになっていました。
ですが、報道されなくても直接間接に被害を受けた方が存在することがわかり、相談ホットラインを設けることで、そういう方に実際にご利用いただけることもわかりました。
自然災害というような大きな出来事がなくても、海外に住んでいる人はそれぞれ一人一人の人生のドラマを生きています。生きていれば誰しもアップもあるしダウンもあります。
海外で今つらい思いをしている方に、金銭的負担をかけずに、手を伸ばしていただきたい。そういう思いで「海外こころのヘルプデスク24時」を作りました。
幸い志に賛同するたくさんのボランティア相談員に集まっていただき、日々の相談活動が行われています。もちろん私も相談員の一人として待機しています。
海外在住者のこころのセイフティ・ネット作りはまだまだ始まったばかりです。やりたいこと、作りたいことが、私の頭の中には常時100個以上も渦巻いています。
1つ1つ、確実に成し遂げながら、社会貢献をしていきます。ヘルプデスクが10年後、20年後もずっと発展存続していくために、皆さまのご支援を得ながら歩んでいきたいと考えています。
キャリアコンサルタント&FP コラムニスト。旅行会社(日本、香港)を経て、金融業界へ転職。営業、教育・育成からスタートし、営業管理職経験を経てキャリアリクルート室を東京と横浜で立ち上げた後、リクルート推進部長にとして採用の責任者に。 そんな最中、夫の海外転勤を機に、2017年退社し、フリーのキャリアコンサルタント&FPとなり、ブラジルへ帯同。自らもアイデンティティクライシスを味わう。 2021年春に帰国し、現在、厚労省の就労、在職者支援を中心に活動中。「世界中どこでも輝けるキャリア&ライフを応援」をテーマに個別にキャリアや海外生活に関するセミナーも実施中。 ヘルプデスクの他に、ブラジル時代より携わっている駐妻のキャリア支援やコラム執筆も継続中。
副代表挨拶
海外こころのヘルプデスクがスタートした2018年6月頃、私はまだ日本にいました。それから少しして、私自身も海外在住者の一人となりました。
初めの数ヶ月は、生活に慣れることで気が紛れていましたが、そのうち、そこはかとない「孤独感」に苛まれました。日本に何もかも置いてきてしまったような喪失感、ゼロからスタートする自分の無力感、そんな気持ちの日々でした。
海外に住む理由は様々ですが、誰もが1度はモヤモヤとした気持ちを抱き、しかし本心を打ち明ける相手は見つからず、寂しさを感じているのではないでしょうか。理解したり、認めたりしてもらえる場面が少ないのも、海外生活です。
2020年は、コロナが世界中を襲いました。誰もが目に見えない未知の敵を恐れ、解決できない事柄に憤りました。自粛を強いられ、行動に制限が加わり、人との繋がりも絶たれる日々が続きました。
その時私は、以前感じた「孤独感」と、今感じているこの感覚は似ていると思いました。 そこに人はいるけど繋がれない、自分は誰の役にもたっていないような気がするのは、孤独というより「孤立」なんだと気付きました。
海外に暮らす誰もが「孤立」しないように、誰かと緩く繋がっていると思えるような、ヘルプデスクはそんな存在でありたいと考えています。 辛い時や悲しい時だけでなく、嬉しいことがあった時や、ただお喋りしたい時にも、ヘルプデスクをお訪ね下さい。 どんな時にも、 話を聴いてくれる場所がそこにある、ということを知っていただくだけでも良いのです。
私達相談員も、海外に暮らす日本人の一人として、今日も仲間たちとの繋がりを大切に、皆さんのご利用をお待ちしております。
アメリカニュージャージー州在住、異文化コーチ(国際コーチング連盟(ICF)PCC資格)。日本で大学卒業後、外資系メーカーに勤務。退職後、フランスでMBA留学。2004年日本に戻って人事コンサルタントとして人材育成・能力開発に約10年関わる。2014年に夫の仕事の関係でアメリカに移住。コーチ資格を目指し、2018年取得。現在は、海外で生活している人、働いている人をサポートするコーチングを行う。前職の経験も活かし、人前で話をすることに関する支援も実施中。中学生女子二人と白柴の母。
海外在住者コーチング:https://www.interculturalcandc.com/japanese
人前で話すサポート:https://interculturalcandc.jimdofree.com/
Facebook:https://www.facebook.com/interculturalcandc
副代表挨拶
日本では、子育てをしつつ、フルタイムで仕事をし、忙しかったけれども充実した生活を送っていました。アメリカに来てからも最初の1年はビザのあれこれに振り回され、生活基盤を築くこともままならなかったものの、2年目には生活が落ち着いて、子どもたちのサポートに従事し、新しい発見などもありました。その後、ふと自分が失ったものの大きさに気づき、しばらくアイデンティティ・クライシスから抜け出せない月日を過ごしました。
私自身、海外生活は初めてではないし、ニュージャージーは夫の出身地でもあるので何度も訪れたことがありました。言語も日常生活を送る程度にはできました。そんな状況だったので、新生活が辛くなるとは全く思っていなかった分、アイデンティティ・クライシスに陥ったときの驚き、戸惑いが強くありました。
でも、当時の私は自分が選んだ道なんだから文句を言ってはいけない、私より辛い状況にいる人が世の中にはたくさんいるんだから私の気持ちは甘えだ、と辛い気持ちに蓋をし、辛さを感じることが悪いことだと思い込んでいました。
でも、それが私の辛い気持ちを長引かせたように、今では思います。
ヘルプデスクに連絡を取ること。これだけでも気持ちを奮い立たせなければならない方もいるでしょう。人に助けを求める、辛い気持ちを口にする、それは真の強さがないとできないことです。
「こんな話をして、人の時間を奪うのは申し訳ない」
「私の経験は大したことないから人に聞いてもらうことに躊躇する」
そんなことは絶対にありません。私達相談員は全員海外在住者か海外経験者です。単なる日常生活でも辛くなり得ることを知っています。
どうか私達に辛い気持ちを、八方塞がりな状況をお話ください。皆さんの声を上げる勇気に私達は支えられています。